「あの子たち、最近よく来るよね」

「へぇ。しずちゃんよく見てるね」

同じ学年だから顔は知っているけれど、名前までは知らない。

しずちゃんは関心するわたしに呆れた顔。

「果歩……もう少し危機感を持ちなよ。さっきの言葉からして、あの子たちはユノくん狙いだよ?」

「……“ユノ狙い”?」

言われてもう一度、廊下を見た。

まだそこにいる彼女たちは楽しそうに笑っていて、しずちゃんの予想を聞いたあとだと、なんだか恋バナで盛り上がっているものに思えた。

「ユノくんはモトがいいんだし、もっと痩せたらもっとモテると思う。早くしないと誰かにとられちゃうよ?」

急かされ、わたしはさっきのユノを思い出す。

“また今度”

あのハロウィンパーティー以降、ユノとの間に距離ができた。

最近はなんだか近寄りがたいというか……。

ユノのほうから話しかけてくることがなくなって、わたしから声をかけても以前のように嬉しそうにはしてくれない。困っているように見えるんだ。

“何かしたかな”と自分の行動を振り返ってはいるけれど、原因はわからないままで。