それから2時間後のわたしは、鮎川と肩を並べていた。
バトミントンの試合を終えてから、柔道の大会が行われているというプレハブ校舎まで顔を出すと、先に訪れていた鮎川が声をかけてきたの。

「らしくねぇな……ユノのやつ」

「……」

「なんかあったのかな」

鮎川の言葉通り、そこでのユノはいつもと様子が違っていた。

「え、なんで……今、ユノは何もしてなかったよね?」

突然、審判からストップをかけられたユノ。

何も悪いことをしていないのに、と不平を感じた。

「6秒のうちに攻撃する意欲が見られないと反則になるんだよ、柔道は」

鮎川は説明してから、再び、小さなため息をつく。

「っ、そんな……」

相手は小さな体で、力だってなさそうなのに……。

ユノはずっと余裕のない表情で、攻撃を仕掛けられても逃げてばかり。

完全に相手のペースだった。

結果、柔道は1回戦で敗退。

ユノの調子がよくなかったのはその日だけじゃなく、次の日のサッカーでも彼はミスを多発し、選手だったクラスメイトたちを困らせていたの。