なぜか顔が真っ赤で、鼻息も荒い。


「ユ、ユノ」

「っ……ん?」

「……あ、ううん。なんでもない」


恐る恐る声をかけると、一点を見つめて興奮する彼は慌てて平静を装った。

けれど、そのあとまたすぐに、


「フー……フー……」


鼻息がわたしの前髪を揺らしてくる。


「フー……フー……」

「……」

「フー……フー……」

「……」


え……怖いんだけど、普通に。


気づかないふりでうつむいているけれど、ユノの鼻息は一向に落ち着こうとしない。顔色はどんどん赤くなってるし、なぜかわたしたちの距離もどんどん縮まってきたような……。
「っ……」


気のせいではなかったみたい。ユノは徐々に腕を曲げ、顔を近づけようとしてくる。

さっきまで前髪を揺らしていた鼻息はもう唇にかかりはじめて……。


「ちょっ」


何これ……まさか!