「“リュウセイ”でいいよ。“リュウたん”でもいいけどね」
そう言いながらウインクをしてくる。
「……いえ、“先輩”でいいです」
ヤバい。
「照れ屋だね」
「……」
この人、すごく面倒くさい。
「わたし、そのイベントにはもう……」
「なら“ダーリン”はどう? それなら恥ずかしくないだろ?」
「……あの、わたしの話、聞いてます?」
しずちゃん、助けて。
「話……? ああ、告白はまだ聞かないよ。僕たち、知り合って間もないからね」
「いえ、告白じゃないです」
「今はまだ、この関係を楽しみたいんだ」
ダメだ。
会話が全ッ然キャッチボールになってない。
「そうじゃなくて! わたし! そのイベントにはもう!」
一緒に行く相手はもう決まっているので、ごめんなさい。
それだけを言ってこの場を去ろうと決意した。
けれど、先輩は間髪をいれずに、
「そんな顔をしても……無、駄、だ、よ?」
ツン、ツン、ツン、ツン、と人差し指でわたしの唇を突き、その手を空にかざした。
パチンと鳴らす指。……その音に反応したのだろう。再び、2階から花びらが降ってくる。
「無、駄、だ、よ?」