「果歩ちゃん、去年はどんな格好をしたの!? 写真とかある!?」

「え、わたしはそういうイベントに参加したことがなくて……」

「えええっ!! どうして!? もったいないよ!! せっかく日本にいるんだからハロウィンを楽しまなくちゃ!!」

「あ……うん、そうだね……」

た、楽しいイベントなのはわかるんだけど、そこまで必死にならなくても……。

ハロウィンを重要視していないわたしは、ユノの必死さにすごく驚く。

でも、“参加するのが夢”って言ってるし……。

「ねぇ、鮎川……」

「オレはパス」

「じゃあ、し……」

「コスプレはしないよ」

うわ……ふたりとも誘われることを察していたのか、言う前に断ってきた。

ふたりの言葉を聞いたユノは、すがるような表情でわたしを見つめてくる。

「ん……じゃあ、行ってみる……?」

「うん!! 行こう!!」

パァァァっと花が咲いたような微笑み。

不機嫌だった今朝のユノを振り返るわたしは、その嬉しそうな様子に心底ホッとした。


そして翌朝、体操着姿のわたしは、しずちゃんとふたりで体育館へ向かう。

「へぇ。ユノくんはドラキュラかぁ……果歩は何のコスプレ?」

「わたしはハロウィンカラーのドレス。フォトスタジオで勤めているお母さんの知り合いが、貸してくれそうなんだ!」

「ふうん。それなら楽だね!」

昨日、あれから電車の中でどんな格好をするか、ユノと話し合っていた。

わたしは衣装を借りるつもりだけど、ユノはわざわざ専門ショップで購入するらしい。

しずちゃんに今朝のお母さんとのやり取りを話していると、