それから3分くらい、わたしはずっと彼らの話を聞いていた。苛立つたびにスカートをぎゅっと握り締めて……。

「あー、またとられた。こりゃあ、もう挽回はできねぇな」

「デブがいたら勝てるわけがない」

「ぶっ! アイツ、息切れしてんじゃん!」

自分のことを言われたわけじゃないけれど……すごく悔しくて、腹が立つ。

何よりもいちばんムカつくのが、

「フンッ……見てるほうが疲れるね」

サル山の大将のようにどっしりと構えたこの男の言葉。

いくら容姿がかっこよくても、中身が最低すぎる……。

イライラが募り、わたしは来た道を戻って、後ろの観客席へと足を運ぶ。

そして……。

「あ~、見てられないなぁ。ホント醜い……」

「醜いのはあなたのほうです!!」

そばへ行って言い返した。

「……え?」

連中は突然現れたわたしに驚いているみたい。

ひとりで数人を相手にするんだから、きっと言い負かされてしまうだろう。

でも、これ以上、ユノをバカにする言葉は聞きたくなくて……。

「顔がよくても頑張っている人をバカにするなんてかっこ悪い!」

あなたたちに何がわかるの。

ユノは頑張り屋! 何に対しても本気で取り組むし、絶対に手を抜いたりしない!

「彼をバカにしないで!」

ポカンと口を開けたままのキラオ先輩をきつく睨み、言い返される前にそばを離れる。

そのままコートが見える場所へ向かい、鉄の柵を握り締め、腹の底から声を張り上げた。