それから4日が経ち、わたしたちはスポーツ大会の日を迎えた。

登校すると、今日の種目に出場するクラスメイトがもう体操着姿になっている。

わたしたち観客組はクラス委員の指示を待ち、制服のまま教室で待機していた。

「ピカルンピカルン! ピカピカルーン!」

あいかわらず、乗田ひかるはことあるごとにウチの教室へやってくる。

「今のおまじないで、湯前くんは絶対に活躍できるの!」

「あ……ありがとうございます」

ユノったら、毎回ちゃんと相手をして……バッカみたい。

「あ、果歩ちゃん!」

「……何?」

ふたりの様子に呆れていたら、ユノと目が合った。

笑顔で寄ってくるからムスッとした態度をとってみる。

「果歩ちゃんはバトミントンだったよね?」

「……そうだけど?」

「バトミントンは明日だっけ?」

「……うん」

何よ、ユノのやつ。

愛想を悪くしているのに、まったく気づいてくれない。

「応援行くね!!」

無邪気な顔。……少しは後ろめたく思ってほしいのに。

「……ありがと」

最近はずっとツインテールと一緒。

それを悪いことのように思っているのは、どうやらわたしだけのようだ。

「……」

「どうしたの? 果歩ちゃん」

まぁね。よく考えてみれば、こんなことでイライラするほうがおかしいのかもしれない。

ただの勧誘だもんね。

向こうは相撲部に入ってほしいだけで、ユノに対して“好き”とかそういう感情は持っていないみたいだし。

見ていれば、そういうのはわかる。

それにわたしはユノの彼女じゃない。だから、これは浮気でもない。

……でもさ、文化祭の日にユノは言ってたよね? わたしと鮎川を見てヤキモチをやいた、って。

なら、わかると思うんだけどなぁ……この気持ち。