「来週の月曜から水曜までの3日間は、クラス対抗のスポーツ大会です!」
「ひとりにつき3種目まで参加できます。全員参加なので最低ひとつは出てください」
「今から黒板に種目を書くので、希望するところに名前を記入してくださーい!」
1限目が自習になった。クラス委員の指示でみんなは席を立つ。
「果歩は何にする?」
「んー……いちばん楽なのをやりたい」
黒板の前が騒がしいけれど、わたしはまだ席に着いたまま。
「しずちゃんは?」
「わたしはやっぱテニスかなぁ」
「そっか。中学のときテニス部だったもんね」
運動神経に自信がなく、中学でも帰宅部だったわたしは、口をとがらせてため息をつく。
ななめ後ろの席では、鮎川や男子たちがユノを囲んでいた。
「鮎川、中学ではバレー部だったんだろ? 一緒にやろうぜ!」
「ユノはやっぱ柔道向きだよな~」
「バーカ。ユノはオレたちとバスケ!」
「何、勝手なこと言ってんだよ。ユノと鮎川は俺たちとサッカーだ!」
相変わらず、ユノは男子の人気者。
「鮎川ってバレー部だったの?」
「果歩ってホンット鮎川に興味がないんだね……アイツ、主将だったよ?」
「シュショーって何?」
「……もういい。わたし、書いてくるから」
呆れた態度のしずちゃんは、ひとりで希望を出しに行っちゃった。
「何にしよう……」
卓球って楽そうだけど、同じことを考えている人が多いのか、希望者がたくさんいる。
多いとジャンケンで決めることになりそうだし、そうなれば、きっと負けてしまうだろうな。
両ひじをついて悩んでいると、ユノが男子の輪から抜けてきた。