「なんだか、今日の果歩ちゃんはいつも以上にかわいいね!」
「へっ!?」
不意打ちだった。
目を細めた優しい表情に驚いて、心臓が大きく跳ねる。
「ホント……日本に帰って正解だな」
ユノは独り言のようにつぶやいてから、もう一度、わたしを見つめた。
「……ユノ」
汗ばんだ首元には生ぬるい風。
全然涼しくなくて、なんだか、のども乾く……。
返す言葉も考えられず、ただただ視線を返すだけのわたし。
ユノの表情も次第に真剣なものへと変わり、わたしたちふたりはひと目も気にせず、固まっていた。
そんなときだった。薄い光がわたしたちを照らしたの。
パンッと弾ける音。……突然の、花火。
「わぁっ!!」
「キレー!!」
周りが一斉に声を上げる。拍手も方々から聞こえてきた。
けれど、
「果歩ちゃん」
「っ……」
わたしたちはまだ見つめ合っている。
次々と打ち上げられてく花火。
明るくなって顔もはっきり見える。
ユノはゆっくり口を開く。
わたしは緊張のあまり、ごくりとつばを飲んだ……。