「大丈夫? 足、痛い?」

「ん? 痛くないよ!」

抱きしめられたときや助けてもらったときに触ったことはあるけれど、あのときはそれどころじゃなかったし、どんな感じだったのかもう忘れてしまった。
「どうしたの、果歩ちゃん。たこ焼きをつついて」

「あ……。熱いから冷ましているだけ」

言えない。お腹を見ながら、たこ焼きの柔らかさを確かめているなんて。

「あ~、こっちも人でいっぱいだなぁ~」

「うん……」

“気持ちいい”ってどんな感触?

他の子は知っているのに、わたしはちゃんと知らない。

「立ったままでしんどくない? 今からでも座れるところを探して……」

「ううん。このままでいい」

だめだ、わたし……またヤキモチをやいてる。

わたしよりもユノに詳しい女の子がいる、ってことが……すごく嫌。

「え?」

会話をしながらもずっと考え事をしていたわたしは、驚いたユノの声で我に返る。

「……あっ」

いつの間にか、わたしの手はユノのお腹を触ろうとしていた。

直前で気が付き、慌てて腕を引く。

「ど、どうしたの……果歩ちゃん」

「やっ……なんでもない」

な、なんて言おう。

急いで言い訳を探すけれど、熱くなる顔に意識が向いてしまい、何も思いつかない。

このままじゃ変に思われそう。

焦って口をパクパクさせていたら、ユノはプッと吹き出すように笑う。