「ユノ……どうかした? 口が開いたままだけど」
「……あ、ううん。そうだね……うん。4人で行こう」

「……? うん」

モデルのようになったユノとの、マンガみたいな展開ばかり考えていたの。

再会すればそのまま付き合うものだと思っていた。

カッコいい彼氏がいることをみんなから羨ましがられ、街中を歩けばすれ違う女の子はみんな、ユノに振り向く。けれど、当の本人はそれに気づいてなくて、わたししか見ていない。

そんな幸せいっぱいの想像の中に、夏の縁日デートも入っていた。

花火大会に誘われ、ふと、それを思い出す。

「花火かぁ。楽しみだね!」

「……う、うん」

実際は、想像と全然ちがった。

帰ってきたユノの姿にショックを受けて、わたしの中の「好き」はどこかへ行ってしまったし。

ユノは街中で注目を浴びることがあるけれど、それはちがう意味で振り向かれている。

でも、6月になった今、わたしのユノを見る目は……少しずつ、変わり始めた……。