それからわたしたちは、期末テストに向けての勉強に励んだ。

「で、ここではさっき言った公式を使うんだ」

「……」

「鮎川? 難しい?」

「いや、大丈夫。公式だろ?」

「うん」

「……ごめん、もう1回言って?」

ユノを困らせている鮎川。

もしかしたら、わたしよりバカなのかもしれない。

「果歩、あんたまた同じ間違いをしてる」

「え? うそ……」

「もう、何度言えば覚えるのよ……」

「ははっ。山咲、オレよりバカなんじゃねーの?」

「っ! うるさい! 鮎川よりマシだし!」

「オレ、お前みたいに何度も同じ間違いはしてねーよ」

わたしもしずちゃんを困らせているみたいで、鮎川はその様子を見るたび、バカにするようなことを言ってきた。




◇ ◇ ◇



1時間が経ち、わたしたち4人の集中力も切れてきた頃、

「ああ……なんか今、すっげぇアイスが食いたい」

鮎川がテーブルに頬をつけて、グッタリしながらつぶやいた。

「アイスは家に置いてないな……近くにコンビニがあるけど、買いにいく?」

「や、動くのが面倒くせぇ。山咲、代わりに行ってきて」

「はぁ!? なんでわたしが!!」

「みんなでジャンケンすればいいんじゃない?」

しずちゃんの提案で、負けたふたりが4人分のアイスを買いに行くことになった。

そして、ジャンケンに負けたのは……。

「わたし抹茶のアイスがいい」

「……オレは“バリバリくん”」

勝負に勝ったしずちゃんと鮎川が、お金を渡してくる。

「なんでこうも弱いんだろ、わたし」

宿泊オリエンテーションのときといい、今回といい、ホント自分に呆れてしまう。

「じゃあ、行ってくるよ」

よっこらせと言うかのように、テーブルに手をつきながらゆっくり立ち上がるユノ。