中庭へ戻ると、しずちゃんと鮎川(あゆかわ)はさっきと同じ場所で待ってくれていた。
「ああ、来た来た……って、どうしたの? その顔」
「っ、しずちゃ……」
「何、迷った? それなら一緒に……」
駆け寄ったわたしがそのままの勢いでしがみつくと、しずちゃんは困った表情で顔を覗き込んでくる。
けれど鮎川は、校門までわたしを連れて行こうとするしずちゃんの腕を掴み、首を横に振った。やめとけ、と言うかのように。
「え、なんで?」
しずちゃんは引き止めてくることに首を傾げていた。
でも、鮎川は「いいから」のひと言でこの流れを終わらせる。
先にユノと会っていた彼はこうなることを察していたのかもしれない。
ショックを受けたわたしを見ても、一度もしずちゃんのようには驚かなかった。
◇ ◇ ◇
それから1時間後、式を終えたわたしたちはそのまま教室で担任の挨拶を聞いている。
配られる教科書を机の中にしまっていたとき、ポケットの中のスマホがブルブル震えた。
『なるほどね』
しずちゃんからのメッセージを読んで、そっと横目で見た。ななめ後ろの席を。
その瞬間、バッチリ目が合う。
彼はわたしが目を向ける前からこっちを見ていたのかもしれない。
「……っ」
嬉しそうな顔をされ、急いで目をそらす。
無視をするような態度になって、そのことに罪悪感を抱きながらもしずちゃんに送った。肩を落とすウサギのスタンプを。
「ああ、来た来た……って、どうしたの? その顔」
「っ、しずちゃ……」
「何、迷った? それなら一緒に……」
駆け寄ったわたしがそのままの勢いでしがみつくと、しずちゃんは困った表情で顔を覗き込んでくる。
けれど鮎川は、校門までわたしを連れて行こうとするしずちゃんの腕を掴み、首を横に振った。やめとけ、と言うかのように。
「え、なんで?」
しずちゃんは引き止めてくることに首を傾げていた。
でも、鮎川は「いいから」のひと言でこの流れを終わらせる。
先にユノと会っていた彼はこうなることを察していたのかもしれない。
ショックを受けたわたしを見ても、一度もしずちゃんのようには驚かなかった。
◇ ◇ ◇
それから1時間後、式を終えたわたしたちはそのまま教室で担任の挨拶を聞いている。
配られる教科書を机の中にしまっていたとき、ポケットの中のスマホがブルブル震えた。
『なるほどね』
しずちゃんからのメッセージを読んで、そっと横目で見た。ななめ後ろの席を。
その瞬間、バッチリ目が合う。
彼はわたしが目を向ける前からこっちを見ていたのかもしれない。
「……っ」
嬉しそうな顔をされ、急いで目をそらす。
無視をするような態度になって、そのことに罪悪感を抱きながらもしずちゃんに送った。肩を落とすウサギのスタンプを。