その日の放課後、わたしは新鮮な気持ちで、普段は通らない地元の道を歩いていた。

「なんでわたしまで……」

「まぁまぁ。男ふたりに女ひとりなんておかしいじゃん」

隣には面倒くさそうなしずちゃん。

「家はもうすぐだから!」

「あれ……ユノ。お前んちって向こうの道じゃねぇの?」

「ああ、今は祖父母の家だから。前に住んでた家じゃないよ」

前を歩くのは、中間で一緒に補習を受けた鮎川と、“うちでやろう”と家へ招待してくれたユノ。

「まぁ、いいけどね。これをネタにヤキモチをやかせるってのも手だし……」

しずちゃんは彼らをネタに、いい関係になっている相手を妬かせようと考えたみたい。

スマホを触り始めた彼女に苦笑いを浮かべ、わたしはもう一度、ユノの後ろ姿を見つめた。

“鮎川とふたりでいるのを見て、すっごく嫌な気持ちになった……とられたくない、って思ったんだ”

後夜祭のときに言われた言葉……。

今のわたしたちの関係、言葉にすると何になるんだろう。

わたしはまだ好きかどうかもわからない状態で、でも“好き”と言われても嫌な気持ちにはならない。この前はエイミーと仲がいいことにも苛立っていた。

一方のユノは、ストレートに“好き”と言ってはくるけれど、“付き合って”とまでは言ってこない。
なんだか微妙な感じだよね……。