ヘアーアクセサリーのようだ。それを見ていたルシアンが二人にプレゼントしていた。くそ、良いな……僕もオフィーリアにプレゼントしたい!  

「ルシアン様私の分まで良いのですか?」
「フローリアが欲しがっていたので問題ない。それより喜んでくれた方が嬉しいぞ」
「それでは、お言葉に甘えて。ルシアン様、ありがとうございます」

「ふふっ。お揃いね」
「はい。嬉しいです! 大事にします」

 オフィーリアとフローリア嬢がきゃっきゃっと嬉しそうにしている。スマートにプレゼントをする男はできる感じがするな。覚えておこう。


 ランチは元王宮のシェフが開いたレストランを予約してある。人の目を気にせず楽しみたいから。それにこの店のデザートは芸術的で美しいと評判になっていて女性に人気なんだそうだ。

 レストランに入ろうとしたらある令嬢に声を掛けられた。

「あら。もしかしてロワール伯爵のジルベルト様ではなくて?」

 ……ん? 誰だ? 若い女性に声をかけられた。確かこの令嬢は……

「相変わらずキレイな顔をしていますわ。小さい頃から変わりませんわね。わたくし今からコスメショップに行くのですが宜しかったらご一緒しない?」

 くすくすと笑う令嬢。

 この令嬢は……そうだあの時の。イヤなオンナに会った。オフィーリアの前でカッコ悪い姿を見せたくないのだが……

「何か言ったらいかが? 無言だなんて感じが悪くてよ?」

 オフィーリアが不思議そうな顔をしていた。

「ジルベルト様はコスメに興味があるの?」

 こそっと聞いてきて恥ずかしくなった。ダサいよな。

「オフィーリア行こうか? ルシアン達を待たせてはいけないからね」

「お知り合いではないの?」

 無視を決め込む僕を不思議に思ったのだろう。

「知らない人だよ」
「でも名前を、」
「一方的に知っているだけだろ。僕は知らない。話したこともなければ個人的に付き合いがあるわけでもない」

「まぁ! 人がせっかく誘って差しあげたのに失礼ねっ! ソレイユ侯爵子息の金魚のフンで一人では何も出来ないくせに、生意気ですわよ」

 はぁっ。この令嬢は昔から苦手だ。偉そうで人をバカにして笑っているような令嬢だ。僕の事が嫌いなら放っておけば良いものの……見ろ。オフィーリアもどうして良いか分からずに戸惑っているではないか!