「オフィーリア嬢良かったら庭を案内しよう」

 手を差し出された。

「えぇっと、母に聞いてからじゃないとお返事出来かねますわ」

 今日は学園が休みで(断れない)お茶会にお母様と来た。

 ザ・都会の貴族のお屋敷! って感じ……お金ありまーす! 入った瞬間にそう思った。高そうな壺、高そうな絵画、高そうな彫像に目が眩んだ。

 ……真ん中を歩こう。何かあっても絶対に弁償ができない。


「オフィーリア嬢、わたくしから伝えておくから息子と散策を楽しんで来て。若い者同士の方が話も弾むでしょう?」

 弾むようには到底思えません。とは言えないよね。にこりと笑顔を貼り付けた。

「母もそう言ってる事だし、行こうか」
「えぇ、っと、そうですね」

 この伯爵家の子息に連れ出された。庭もすごいゴージャスで薔薇の香りがむせかえるようだった。赤、白、黄色、ピンクに紫。どこを取っても目がチカチカする色合いだった。お、落ち着かない。


「オフィーリア嬢は今年で十六歳になるんだよね?」
「えぇ。そうです」

 もうすぐ誕生日で社交界デビューとなる。

「そうか。オフィーリア嬢は可愛いからデビューをしたら引くて数多だろうね……本当に十六歳?」

 どこ見てる?

「え? はいそうです、何か?」

「あどけない顔に、その身体……誘っているとしか思えない。君も伯爵夫人の座を狙っているよね?」


 ……きもっ!(言葉遣いが悪くなる程に)初対面なんですけどっ身体をジロジロ見てきて気持ち悪っ。誘ってないし。ってそもそも誘うって何処に? お母様が選んだドレスで露出も少ないしコルセット絞りすぎたのかしら。