廊下を歩いていただけなのに……

「オフィーリア嬢、今度オペラに行かないか? 我が家は年間シートを取っている」
「オフィーリア嬢、植物園に行かないか? 静かに鑑賞出来るように貸切にしよう」
「今度、学園でダンスパーティーがあるよね、パートナーになってくれないか?」
「それはずるいぞ! それなら私はドレスをプレゼントする!」
「私はさらに宝飾品も付ける!」

 ……なにこれ。どうしよ……

 

 少しずつ後退りする。するとドンっと誰かにぶつかった。

「ん? オフィーリアか」

 ハリーだ。ハリーは身長が高い!

「ごめん、ちょっと隠れさせて」

 制服のスカートの裾を絞ってハリーの後ろに隠れた!

「――オフィーリア嬢がいない!」
「お前らと言い争っている間に呆れて行ってしまったんだな!」
「逃げられたか!」

 子息達が肩を落としてその場を去った。

「……行ったぞ」
「……うん」

 きょろきょろして子息がいないことを確かめてハリーから離れた。さて、と教室へ……

「オフィーリア、この前食事会に来なかったな」

 先日の食事会の話?

「両親だけで食事会になったと思っていたの。テストもあったし忙しいでしょう?」

 テストも近かったし、お茶会とかも忙しいんじゃないの? ハリーが来ていたとは聞いて、子爵に顔が似てきた、元気そうだった。ハリーはモテるからお誘いが多いと聞いた。

「それくらいの時間はあるに決まってるだろ」