ボサボサの髪にメガネを掛けているこの令息。
「学園のお庭で見かけたことがありますわ。バラの支柱が倒れそうになっていたのを直していらして……次の日に柱が増えていたのはあなたがされたのですか?」
「まぁ、ジルったら学園でもそんなことをしているの? オフィーリア様。この人はジルベルト・ロワール。ルシアンの親戚筋に当たるのよ」
「……初めまして」
しまった! 自己紹介の前にペラペラとお話をしてしまったわ!
「すみません。名前も名乗っていませんのにペラペラとお話をしてしまいました。オフィーリア・カルメルと申します」
恥ずかしいわ……とんだ失態だ。
「ジルも早く席に着いて! オフィーリア様のお土産のお菓子を食べましょう」
お皿にキレイに盛り付けされたカップケーキが出されたって……何これすごく豪華になってる!
「まぁステキ! こんな盛り付け初めて。どうしたの?」
メイドに聞くフローリア様。ん? お菓子に別添えで金箔が入っていて盛り付けする時に振りかけて欲しい。と手紙があった? ナニソレ……シェフと先生のこだわりなのね。毒が入ってないかとか確認までしてくれたようで出すのに時間がかかったんですって。
「シェフが口にしてとても気に入ったようですが、お嬢様方の口に入れても良いかと悩んでいまして……するとステファン様が来られまして了承を得ましたのでお出しすることになりました」
やはりサツマイモは賛否両論があるのね。お手を煩わしてしまった。
「お兄様が良いと言ったなら問題ないわ。いただきましょう」
躊躇いもなくフローリア様もルシアン様も遅れてやってきた令息も口にした。
「美味しい」
「美味いな」