座った瞬間にお茶が出されるなんて公爵家のメイドさん達は優秀ね。学園での話が殆どで、テストの話だとか先生の話だとが会話の中心だった。しばらく経ち侯爵令息がぽそっと言った。
 
「へぇ。本当にフローリアの友人なんだな」

「そう言っているじゃないの。まだお話しするのは二回目だけれど、先日のお茶会でオフィーリア様と仲良くなりたいと思ったのよ。彼女なら損得勘定なしで友人になれるって」

「えぇ……っ! 何が私をそうさせましたか! 全く覚がなくて……フローリア様とお話しするのはとっても緊張しますし、あ! もちろん光栄で嬉しくて、友人と思って頂けるなんて、」
「もう友人よ。ダメかしら?」

 ……美しい。美しすぎて思わず頷いていた。

「良かった!」
「フローリアと友人なら僕とも友人になってくれ」

 ん? 侯爵家の令息と? それはないでしょう? 返事が出来ずに固まった。

「ははっ。この子変わってるね。僕も友人になりたいと思ったんだ。確かに損得勘定がないな。侯爵家ってだけで群がる人間が多いのに、この子からは全くそういうものが感じられない。あ、そうか癒し系だからか……」

 だからその癒し系って何? 愛玩具みたいでイヤなんですけど!

「その……癒し系とかってなんなんですかね。意味がわからなくて」

 真面目に聞いてみた。

「親切な方に田舎くさいから。だと言われまして、確かに久しぶりの王都でしたからそう思われても問題ないのですが、こんな田舎者とフローリア様や侯爵令息と友達なんて世間が許しませんよ」

「そんな事誰が言ったのかわからないけれど、オフィーリア様とお話をしていると和みますのよ」

「確かに。そうだ、僕のことは侯爵令息ではなくルシアンと名前で呼んでくれ。僕もオフィーリアと呼ぶ」

「あら! ルシアンもオフィーリア様の良さに気がついたのね。嬉しいわ」

 仲が良さそうなんだけど、ところでこのお二人どういう関係なのだろう? 二人を交互に見る。

「ふふっ、私達ね幼馴染でね、来月正式に婚約するのよ」

 なんと! 確かにお似合いだ。

「ルシアンがテストで一位を取ったら婚約するわ。と言ったら本当に一位を取ったの。今年の学生は優秀だから大変だったのよね?」