もうすぐリューに身長を抜かさせる。最近目線が同じになってきた。そして節々が痛くて眠れないって言って先生に聞くと成長痛だとか?

「リアもしっかり成長したよね、この辺」

 スザンナに指を差された。

「きゃぁ。変態っ」

 領地に住んでいる頃からシャツのボタンが苦しい……と言っていたけれど、ミルクのせいなのかもしれない。うちのミルクって本当に甘くて濃くて美味しくて……チーズも美味しいし。乳製品の摂りすぎだったのかも……締め付けてなんとか抑えているから苦しい。

「可愛い顔にアンバランスな身体でよく食べる所が癒し系といわれる理由なのね」

「よくわからないその変な呼び方やめてほしいんだけど。田舎くさいって事なんでしょう? ずっと王都で暮らすつもりないし、たまに遊びに来るくらいでちょうど良いかも」

 
 頭がいいとかキレイとかイケメンだとか目立つ特徴だったら良いのに、よく食べる子って……どこで見られているか分からない。怖いわね、学園。


 去年はハリーもイケメンだって騒がれていたみたいで、すでに私達の学年にもファンがいるんですって。昔から知っているけれど俯瞰で見るとモテるんだ。そりゃ私と婚約したくないわけよね。

「良い加減に食べるのをやめて、午後の授業の準備しなきゃ。東棟に行かなきゃいけないんだからそろそろいくわよ」

 ……あっ! しまった。

「教室に忘れ物しちゃった。取ってから行くから先に行ってて」

「分かったわ。片付けておくから、急いで取ってきなさい。時間に厳しい先生だから遅刻したら減点されちゃうよ~」

「うん。ごめんね、ありがとう!」

 早足で教室に向かう。なんでノートを忘れちゃったのかしら……教室へ行くとがらんとしていた。皆もう移動しちゃったのね。急いで東棟まで歩を進める。急がないと減点よ!

 

『オフィーリア、久しぶりだな。帰ってきたんだったな』

 名前を呼ばれて振り向くとハリーが友人といて声を掛けられた。急いでいるのにっ……

『ハリー様ではないですか。お久しぶりですわね』

 微笑みを浮かべるも内心は早く東棟へと行きたい。

『元気だったか? この前母に会ったんだって?』

『えぇ。夫人も元気そうでしたね』