俺は父から譲り受けた顔を武器に金持ちでキレイな令嬢と婚約を結びたいと思い日々努力をしている。
 うちは平凡な子爵家で両親の仲が良いだけの家だからな……父はモテたそうだし、息子の俺から見てもいけている。

 母は父の性格が好きなんだそうで図書館で読んでいた本が同じだったとか、音楽の趣味が同じとかそんな些細な事らしい。
 父と母は名前を知っていたけどお互い顔を知ったのは随分後からなんだそうだ。そんな出会いも悪くないけれど、せっかくなら名のある家の令嬢が良いかな。とにかくいろんな令嬢と知り合って損はないという事。

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 今日は入学式。新入生に可愛くて家柄のいい子がいたらオフィーリアに紹介してもらうというのも悪くないな。可愛い子は直ぐに噂になる。

 入学後は目立った容姿の者、優秀な者はあっという間に噂となり名前が上がる。俺の時もそうだったな。イケメンがいる。って!

 新入生では公爵家のフローリア嬢が美しく優秀だと噂になっていた。孤高の華だとか?
 ソレイユ侯爵家の嫡男ルシアン殿が学年一位で将来有望……その他は侯爵家の令嬢がいて学年で二位。
 伯爵家の令嬢で癒し系の可愛い子がいるとクラスの子息が言っていた。男爵家の令嬢でスタイルが良く目立つ子もいる。そしてなぜか今回の新入生は入学試験の平均点がここ数年の中でもずば抜けて良いとか? 

 それからしばらくして、クラスの子息と歩いていた。

「あ、あの子だ。伯爵家の令嬢で癒し系!」

 どれどれ。そんなに可愛い子なら見てみたい。って!
「……ん? オフィーリアか?」

 噂の癒し系令嬢はオフィーリアだったのか?!

「ハリー! 知り合いか!」
「幼馴染で妹みたいなものだな。久しぶりに見た」 

 ……オフィーリアか。確かに可愛い。癒し系と言われればそう見える。可愛い顔に女性らしい体つきのギャップが……確かに子息が放っておかないタイプに成長したようだ。

「声をかけてくれ! 話がしたいぞ」

 人気のある令嬢が幼馴染となればこちらとしても悪い気はしない。声を掛けると再会を喜んでくれるだろう。

「オフィーリア、久しぶりだな。帰ってきたんだったな」

 昔と変わらずに声を掛けた。

「ハリー様ではないですか。お久しぶりですね」

 にこりと笑うオフィーリア……可愛いな。うん。