オフィーリアは決心した。

 ……ハリー…………ないわ。






「うん。分かった! 私も両親に伝えておくね! 婚約は早いって。ハリー、良い人が見つかると良いね」


 早くこの場を立ち去りたい! そんな気持ちで言ったはずだった。


「オフィーリア、分かってくれたい? 物分かりがいいのはオフィーリアの良いところだ」

 ……褒められているの? いや! それは無い。でもハリーはよく褒めてくれていたわよね。

 オフィーリアかわいいね、その服。

 オフィーリアはお茶を入れるのが上手だね。

 オフィーリアの刺繍は美しいね。

 オフィーリアは字が綺麗だね。


 ……って私の容姿に関することは一切褒められていないことに()気がついた!


「オフィーリア、聞いてる?」

「あ、うん。聞いてたよ。両親に言いに行くから私行くね!」


 席を立ち両親の元へ行く。


「オフィーリアちゃん、ハリーとの事なんだけど、二人の返事を聞かせてくれる? 二人は仲良しだから悪い話では無いわよね? おばさんもオフィーリアちゃんがうちに来てくれるなら大歓迎だわ」

 ハリーの母親が笑顔で言うけれど、残念ながら答えはNO。


「ハリーと話し合って決めました、」
「まぁ! 決まり? おばさん嬉しいわ!」

 手を握ってくるハリーの母親。ハリーのぐいぐい話を進める悪い癖は母親似かも。


「オフィーリアちゃん、良かったらお父様と呼んでくれても構わないからね!」

 ダンディな笑顔を見せるハリーの父親。ハリーの美男子顔は父親似。恐らくモテたんだろうな……自信ありげだもん。
 もちろんそんなダンディが選んだハリーの母親も美しい人だ。男爵家出身で恋愛結婚だったそうだ。何回も聞かされたもの。



「フィー、ハリーと婚約するという事で良いのか?」