「庭のバラで作っているんだよ。母が好きだったから領地に来たらよく飲むんだ」

 お庭の所々に女性が好きそうなモチーフのアーチやベンチが見られる。夫人が好きだったのかな? 可愛い。

「見応えのあるお庭ですね」
「そう言ってもらえたら母も喜ぶよ。本来はサッパリしていたみたいだよ。母が嫁いできてから植えたものが多いと聞いた。考えなしになんでも植えるものだから後から庭師が手を焼いたんだって」

「ふふっ。それは記憶に残りますね」
「そ。だからオフィーリアも何か植えたいものがあったら好きにして良いよ。文句を言いながらも世話をする庭師は楽しそうなんだよ」

「もう嫁ぐ話か……本当に王都で式をしないのか?」
「あぁ。オフィーリアの希望でうちの領地の教会でしたいと言うからね」

「ステンドグラスがキレイな可愛い教会よね。オフィーリア好きそうよねぇ」
「はい。壁が白くて屋根は赤くてステンドグラスはお花モチーフで可愛いですから」

 家族と親戚と親しい友人だけ招待する事になった。フローリア様とルシアン様の結婚式はそういう訳にはいかず王都の中央教会で盛大に行われます。

「楽しみね。色々と面倒なこともあったけど落ち着くところに落ち着いたものね」

 色々といえばハリーが騎士団に入団した。遊んでばかりではダメだと厳しい騎士団に入団したみたいで驚いた。お金持ちの可愛い子を捕まえられなかったのかなぁ。この前学園でチラッと見たけれど顔がシュッとして厳しい目つきをしていた。チャラチャラした感じが薄れていたような? 大人になったわね、ハリー。

 ジルベルト様に求婚? していた令嬢はその後学園で見なくなってどうしたのかと思ったら、礼儀作法を一からやり直すために厳しい教会にいるんだとか? ジルベルト様あまり話したがらないんだよね……

「はい。それはそうですね。それよりも……」
「なに? どうかして?」

「フローリア様とルシアン様お疲れの様子ですが、大丈夫ですか?」

 なんだか元気がないような? 疲れているような感じがした。

「え? そう? そんな事ないわよね、ルシアン」
「あ、あぁ。問題ないぞ。そろそろ食事の時間じゃないか? 伯爵達を待たせてはいけないな」

 お二人を家族に紹介して晩餐は始まった。ロワール伯爵は久しぶりにお客様を招いた。と話していた。親同士楽しく過ごしていた。