「母上も父上もオフィーリアの事を昔から気に入っているではありませんか? それに俺はオフィーリアと婚約をしない。とは言っていません。今じゃない。と言ったのです」

「でもオフィーリアちゃんは、」
「勘違いをしているんでしょうね。オフィーリアは幼かったですからね」

「あの時私達は婚約をさせない、という事で話は一致しました。ハリーの意見は関係ありません。これ以上オフィーリアちゃんには近寄ってはなりませんよ、良いですね」

 母からの説教が終わり部屋に戻ると手紙が届いていた…オフィーリアからか! 早速開封する。

「は?」

 俺の書いた手紙と共に身に覚えがないだと? 俺はオフィーリアに待て。と言ったのに勝手に解釈をしたんだろうが!

 しかし相手の家から抗議が来たとなると無闇にオフィーリアに近寄る事が出来ん。手紙は証拠になることもあるから戻ってきて良かったのかもしれない……


 ロワール子息には令嬢達を使って誘惑させているのに微動だにしない。
 令嬢の誰か一人にでも手を出してくれればオフィーリアとの婚約は無くなるだろうと思っていたのにな。学園でダメならどこかの茶会で会った時に……と思ったが、生意気にも奴が出るような茶会は高位貴族や、何故か騎士系の貴族の家だ。
 そういう場に俺は呼ばれないから会うこともないし、高位貴族の家で騒ぎを起こせば人生が終わる。騎士の家で何かしたらその場で捕えられるだろうし、どのみち何もできん。

 騎士系? もしかして今頃になって剣術を習っているのか?


 翌日嫌な男にばったりと会った。こんな偶然あるのか?

「グレイヴス子息、僕の婚約者に良からぬ思いを抱くのはやめて下さいね」
「ロワール子息か……卑怯な手を使い婚約したと噂を聞いたけど真実なのか?」
「さぁ、どうでしょう?」
「噂を聞いたのだけど君を倒せば婚約は破棄されるのか?」
「ははっ、どうでしょうね」

 はぐらかしたのか? それとも余裕なのかは分からないがとにかく……

「俺とも勝負してくれよ」
「しつこい人ですね……」

「それは逃げているのか?」
「まさか、わかりました勝負しましょう」

 勝負は放課後。立会人として教師を一人連れてくる。と言っていた。この時点で気がつけばよかった。勝負することに慣れているから、場所の指定や教師を連れてくる。と言った事に……