「ねえっ、あなたがなぎさちゃん?」
「……へ?」
突然名前呼ばれて、びっくりした。
まさか三滝先輩と喋る機会があるなんて思ってなかったから、心臓がバクバクしてる。
「そ、そうです、けど」
「ふーん……」
見定めるような目。
ていうか、近くで見ると本当に顔整い過ぎ……。
勝てるわけ、ないじゃん。
「想像してたよりずっとかわいい! あれでしょ? SHINAの妹って噂の子でしょ?」
「え……っと、たぶん、そうです」
たぶんっていうか絶対だけど!
意味わかんない返しするな! 緊張しすぎだろ!
「そんなに比べるほどかなあ? わたしはなぎさちゃんの顔、めちゃくちゃタイプ」
「……あ、ありがとうございます」
「あーっ、今、嘘だって思ったでしょ?」
……思ってません、きっと。
むすっと頬を膨らませる三滝先輩。
うっわ、かわいい……。
女から見たって、普通にどの表情も様になってるんだもん。
目はくりくりで少し色素が薄くて、モカブラウンの髪は胸下まで伸びてる。
「ね、正直どうなの?」
「どうって……?」
「ひーくんのこと!」
ひーくん……って、聖里くんのことか。
あの聖里くんをあだ名で呼ぶなんて、先輩の距離の縮め方が上手なのか、めちゃくちゃ仲いいだけなのか。
……それで、どうっていうのは、恋愛感情の有無について……聞かれてる?