無理矢理はがされた聖里くんはへた、と床に座り込んで大きな手で自分の顔を覆っている。
「……俺、いま、やばかった」
「うん」
やばかったよ?
全然動かないし。
細いのにしっかり重みあるし。
「……なぎさのこと、襲いそうだった」
「……え?」
なんとおっしゃいました?
襲うって、熊じゃないんだからー! ……って、笑い飛ばせたらいいんですけど。
わたし、あいにくそんなに鈍感じゃないんでわかっちゃいます。
……つまり、そういう意味ですよね?
「ひじりくん……わたしに、そういうことしたいって思ってるって、こと……?」
「っ……や、違くて、まじで」
なにが違うか説明できる?
それとも……誰でもよかったってこと?
聖里くんって意外と性欲モンスター?
……には、見えないけどなあ。
「あー……忘れて、俺も頭冷やしてくる」
「あっ」
逃げた……。
えー……?
なんだったの、今の……。
よくわかんないけど。
わたし、確かにドキドキしてた。
心臓の鼓動が速くなったの、絶対気のせいじゃない。
……聖里くん相手に、ドキドキ、しちゃった。