教室に帰ったあと、芙実ちゃんからは「大丈夫だった!?」と物凄い勢いで心配され、「大丈夫だったから落ち着いて」となだめるのに何分も使った。
結局そのあと雨は本格的に降り始め、放課後にはとんでもない大雨になっていた。
「すごい雨だねえ」
「うん、どうする? 芙実ちゃん」
「うーん、わたしは止むまで待とうかなあ」
そっか……。
わたしはどうしよう。
傘も持ってないしこんな雨の中帰るのも大変そうだけど、聖里くんのことが心配だし。
それに……今日のことがあったから、なんだか聖里くんに会いたい気分でもあった。
こんなことをいうのは変だけどね。
「なぎちゃんは?」
「わたしは帰る」
「えっ? こんな雨の中?」
「うん」
雨音が鳴り響く教室の中、わたしは席を立ってスクールバッグを肩にかけた。
家帰ったらすぐお風呂入るから、大丈夫。……たぶんね。
「か、風邪ひかないようにね!?」
教室から出たら松野くんに会って、「え、傘もないのにこんな中帰るの?」って同じようなこと聞かれたけど、わたしは「フィジカルで乗り切る」なんて意味わからない返しをして、学校をあとにした。
風邪だけは引きませんように……!