「俺一応、いちばん聖里と仲いいからさあ、代弁してあげる」





口調はのんびりなのに、声色は全然笑ってない。
わたしは床を眺めるしかできないけれど、松野くんの威圧感に負けているであろう女子たちを想像したら気分がよかった。
とか言っちゃうわたしも、だいぶ性格悪いんだろうけど。




「聖里はね、少なくとも、キミらみたいな陰湿でわがままな女子よりも、折田みたいな誠実で大人しい女子のほうがタイプだと思うよ?」


「っ……だ、だって」


「悔しかったよね。自分より下に見てたはずの女子が、実は間接キスしちゃうくらい自分より聖里と仲良しでしたなんて」





そ、その話は掘り返さないでいただけるとありがたいんですが……。
だけど、松野くんの圧で押して勝つような物言いは止まらない。


今まで話したことなかったから知らなかったけど、松野くんって意外とずけずけ言いたいこと言っちゃうタイプなんだなあ。





「でもさあ、逆効果だって分かんない? こういうことするやつが一番嫌いなの、聖里って」


「……ご、ごめ」


「謝ったって一緒。どっちにしろキミらにはもう望みないからね」





もうそのへんにしといたほうが……。
松野くんって、女の子泣かせるの得意? もしかして。