「ねえ、折田さんは榛名くんのことどう思ってんの?」
「……え、どうって」
最近話すようになったばかりだし、まだそれを考えるほどの距離感でもないんですが。
どう思ってるかと聞かれたらそりゃ、
「いいひとだと思います」
「どこらへんが?」
「榛名くんの何を知ってんの?」
それは……あなたたちに、直接お返ししたいセリフです。
だってこの人たちは、聖里くんがあんな風に笑うことも、照れて顔を真っ赤にしちゃうことも、本当は頑固で自分の意見を曲げないことも、きっと知らないんだ。
家と学校とでは全然違うってこと、知らないのに虚勢張ってる。
……だから、わたしがとやかく言われる筋合い、ないです。ほんと。
「榛名くんのこと好きな子なんていっぱいいんの、わかってる?」
「……」
「今まで榛名くんとなんのかかわりもなかった折田さんが急に現れて、突然付き合ってるかもしれないなんて噂が流れて、気が気じゃないんだよね、あたしたち」
……それも、そうか。
わたしとしても同居が決まったのは突然だったし、しかもその相手が聖里くんだなんて、同居が始まってから知ったんだもん。
わたし、聖里くんのこと、みんなから奪ってるなんて感覚ない、けどなあ……。
実際、学校ではあの件以外に一言も会話してないし。