『なぎちゃんも恋とかしちゃうかもね』
「……え?」
『そんなかっこいい男の子そばにいたら、好きにならないわけないでしょ』
コイ……って、あの恋?
考えもしなかった。
わたしが聖里くんを好きになっちゃう可能性?
……いやいや、ない、でしょ。
それこそ叶わない恋じゃんか。
しいちゃんのそばで育った段階でもう気づいちゃった。
恋なんかしても叶わないってわかってるから最初からしないほうがいい。
そうだね、それこそ、聖里くんは観賞用だよ。
『あ、ごめん、次のお仕事はじまるみたいだから切るね』
「うん、がんばってね」
『はいはーい』
電話が切れたあと、しいちゃんからメッセージで【いい報告待ってるね♡】なんて送られてきていた。
……から、既読無視しておいた。
わたしがスマホを閉じてひとつため息をこぼすと。
「だれから電話?」
「わっ」
び、びっくりしたあ。
電話してた上に考え事もしてたから気づかなかった。
お風呂あがったのか。
聖里くんを視界にとらえて顔が熱くなった。
……そういや当たり前だけど、お風呂上がりの状態を見るのははじめてだな。
「あ、お姉ちゃん……」
「あー……あのモデルやってるひと?」
「うん」
やっぱり知ってるか。