「……ご、ごめんね、聖里くん」
「ん?」
「有馬くんとのプリクラ……」
はあ。
なぎささ、わかってる?
俺、彼氏だし。今、デート中なんだけど。
「他の男の名前ださないで」
「……ごめん」
怒りたいんじゃないんだよ。
俺がガキみたいに嫉妬してるだけだからね。
「とにかく、ほら、スマホかして」
「う、うん」
なぎさのスマホケースを外して、有馬とのプリクラと入れ違いで今撮ったばかりのプリクラをはさむ。
これでよし。
毎日俺のこと思い出してね。
「できたよ」
「……ありがとう。うれしい」
そんな顔で笑われたらさ。
俺の思考なんて、簡単になぎさに支配されちゃう。
変かな? ……変だね、きっと。
ふ、と一息ついた俺に、なぎさが一言。
「夜ご飯……うち、来る?」
ショッピングモールだし、適当にどっか入って食べる予定だったけど。
……はじめてのなぎさの家。行ってみたい。
もちろん二つ返事でOKをして、俺たちはすぐに駅へ向かった。