「なぎさ、俺行きたいとこある」
「うん?」
そして連れてきたのはゲームセンター。
ずっと気になってたんだよね……なぎさのスマホの、それ。
カバーの裏に挟まった、有馬とのプリクラ。
意味わかんないし。
……なんで外さないわけ?
まあ。
大方、忘れてるだけだろうけど。
「彼氏とプリクラとか緊張するなあ」
顔を赤くして困ったように笑うなぎさ。
”彼氏”。その響きが、やけに脳裏に張り付いた。
そう、俺はなぎさの彼氏。
他の男のことなんか、思い出す隙も与えてやらない。
「上書きね」
「……え? 上書き?」
「それの」
なぎさのスマホを指さした。
やっと気づいた? この鈍感娘。
今更、そんなしまったって顔しても遅いよ。
機械の中に入って、なぎさとくっつく。
有馬とはここまでしなかったでしょ?
カップルじゃないとありえない距離感。