「はい、できた」


「な、なにしたの……?」


「見てみて」





そういうと、なぎさはスマホのカメラアプリを起動して自分の首元を確認する。





「えっ……これ、さっき見てたやつ……!」


「うん。欲しいかなって思って」


「な、なんで? 誕生日とかでもないのに」





なんでって聞かれると、難しいなあ。
彼女にプレゼントするのに、理由とかいる?





「しいて言えば、俺を選んでくれてありがとう、のプレゼントかな」


「っ……」




あーあ。
また泣きそうな顔して。



そんな可愛い顔したらなぎさに惚れる男なんかいっぱいいんの。
いい加減、わかって?






「わ、わたしもお返しするっ」





お返しなんか、いらない。
求め過ぎたら壊れちゃう気がするから。



なぎさがそばにいてくれるだけで、十分だよ。






「……指輪は、結婚する時までお預けね」


「えっ」


「欲しかったんでしょ?」




なぎさが釘付けになっていたシルバーリングたちに目をやる。
はやく大人になって、なぎさをもっといっぱい泣かせてあげる。





「……待ってる」


「うん」





待ってて。
プロポーズは、ちゃんとしてあげるね。