「これは?」
今度は黒いワンピース。
腰回りにリボンがついていて、キュッと腰のラインがよく見える。
さっきよりは暖かそう。
「……なぎさは、ワンピースがほしいの?」
「え? うん。持ってないから……そんな似合わない?」
うるうるとなぎさの瞳が潤んでいく。
似合いすぎてるから困ってんだよ。
「いや……それ、腰のライン見えすぎじゃない?」
「……え、そうかな?」
「正直、心配」
俺はなぎさの全部が好きだよ。
でも、それを他の男には知られたくない。
俺だけでいい。
俺だけ知ってればいい。
「……心配って?」
「全部かわいいから、他の男に見せたくないかも」
みるみるうちに赤く染まっていくなぎさがいとおしい。
抱きしめたくなったけど、さすがに外だから我慢した。
「……じゃ、じゃあ、トレーナーとかに、する」
「うん」
そうだよ。
俺がいないとき、おしゃれするの禁止。
知らなかった?
俺、結構独占欲強いみたい。
「……次、どこいく?」
ハンガーにかけなおした二着のワンピースを元の場所に戻したなぎさの手を握って、店をあとにした。
さりげに指を絡めてみたら「ひじりくん……」と恥ずかしそうに名前を呼ぶなぎさが見れたから、やっぱり、やめられないかもなあ。