その場で何をしたいか決めれる無難な場所、ということで、デート先は大型ショッピングモールに決まった。
家まで迎えに行くといったんだけどやんわり断られてしまったから、仕方なく駅で合流。
「たのしみだねえ」
ニコニコと笑うなぎさ。
……天使か……?
早々に心を射抜かれて死にかけながら、なんとか「そうだね」と相槌を打つ。
俺よりいくらか小さい身長。
ちまちまと俺の横を歩いてる。
……この子が、俺の彼女。
未だに信じられない。
なぎさは本当に俺でよかったのかって、今でも思う。
だけど、あいにく、もう離してやることはできそうにない。
「聖里くん?」
「あ……ごめん。どした?」
俺が聞くと、なぎさは少し恥ずかしそうに視線をそらしてから、もう一度俺の目を見上げてきた。
「その……手、繋ぎたいなって……」
思考停止。
俺の中のねじが一本くらい飛んでった感覚。
……かわいすぎて、無理。
何も答えずになぎさの手を握ると、彼女は嬉しそうに笑っている。
こういうのを、小悪魔っていうんだろうか。