「俺のはじめてがよかった?」
「……うん」
「でもなぎさは、俺の最後の彼女じゃん」
うん。
……うん?
最後の、って?
聞き返す意味で、聖里くんをもう一度見上げた。
「結婚して、俺と」
……な、何言ってるの。
ひじりくん。
そんな、わたし……まだそこまで考えれてないのに。
「わたしで……いいの?」
不安になって聞いた。
「なぎさじゃなきゃ嫌だ」
彼は即答した。
……うん、まだ結婚とかはよくわからないけど。
わたしもきっと、聖里くんじゃなきゃ嫌だよ。
わたしだって、うまく伝えたい。
だけどいつまでも不器用で、ごめんね。
キスの嵐が止んだ少しの隙に、今度はわたしから口をつけた。
すこしの背伸び。
物理的にも、距離的にも。
「……あのさあ」
「う、ん……?」
「キスだけで止まんなくなるから、ほんと手加減して」
止まんなくなっていいよ。
ただし、今日はおあずけ。
同居じゃなくなっても、またどっちかの家にお泊りしよう。
週末だって会おうと思えばいつでも会いに行けるんだし。
「……なぎさ、超好き」
「ん。わたしも大好きだよ」
もう一回口をつけて、目いっぱいハグをして、わたしは家を出た。
寂しくないって言ったらうそになる。
でも、今、聖里くんから溢れんばかりの愛をもらったから。
もう、大丈夫。
泣かなくたって、大丈夫。