私がそのうちの一人ならまだしも、その輪の中に入ったことすらないんだし、陽キャどもみたいに怜央に媚びを売らなくてもやっていける……。



「ねね、唯花?これのお礼にさ……。」

「ん?なに、もっかい言って」



変なことを考えていたせいで、怜央が話し始めるまでフリーズしていた。

おかしなことは言っていないはずなのに、なぜか怜央は顔を赤くして口を開いた。



「だから!お礼に唯花も息抜き出来たらなって思って、明後日の花火大会一緒に行こうって言ったの!」



えっ、花火大会!?

そんなイベントに行くのは何年ぶりだろうか。今まで友達に誘われても勉強の為断っていたけど、本当は私も行きたかった。

でも今回は怜央からのお礼という立派な『言い訳』がある。自分への。

毎年我慢してたんだし、行ってもいいよね、そろそろ!



「私……花火大会、行きたい」

「うん、行こ!唯花はいつも勉強勉強って、それじゃ疲れちゃうでしょ?夏休みくらい楽しもうよ」