会場に近づくにつれ、お囃子の音や話し声が大きくなり、私の気持ちも高ぶってきた。

ほんとに怜央と花火大会に来たんだ……!

たくさん並んでいる屋台のひとつを怜央がじっと見つめている。



「射的、やりたいの?」

「ん、めっちゃやりたい!唯花にあのぬいぐるみ取ってあげる!」



そんなことを言っているけど、お祭りの屋台で、しかもぬいぐるみを取るなんてほぼ不可能だ。

でも丁寧に構えた怜央の獲物を狙うような目を見たら、もしかしたら、と思ってしまう。

そして怜央の打った弾は真っすぐぬいぐるみをめがけて飛び―――、そのまま標的の巨体を倒した。



「え、怜央……え??」

「唯花見てー!俺一発で取ったよ!すごくね!?」



大きなぬいぐるみをもって笑みを浮かべる怜央。無意識に、かわいいのはどっちだよ、と考えていた。

普段はこんな感じだけど、なんか意外なとこでかっこいいんだよね、怜央……。

これが世間一般でいうギャップ萌えってやつか……!