もしものときは怜央に助けてもらおう、そう決意した私は、改めて怜央に向き直った。
「じゃあ明後日、花火大会で……。」
「え、なんで明日は?勉強は?」
「明日はお姉ちゃんが帰ってくるから、1日中連れまわされるんだよね……楽しいからいいけど。だから、明日と明後日はお休み」
私のたった一人のお姉ちゃんが、東京から帰ってくるんだ。
お姉ちゃんは私とは正反対で、勉強なんかよりファッションや美容への関心が非常に高かった。専門学校に進学したお姉ちゃんは東京へ引っ越し、親からの期待は私に全部寄せられた。
でもお姉ちゃんを恨んだりはしてない。お姉ちゃんは私の理想そのものだし、だれよりも寄り添ってくれた人だから。
「花火大会のときはぐれちゃうから、連絡先もらってもいい?」
「あっ、そっか昔はスマホなんか持ってなかったから……。はい、これ私の連絡先」
「ありがと。じゃあ明後日、会えるの楽しみにしてる」
…………私の幼なじみは、いつの間にこんなにあざとくなったのだろうか……。