夏といえば？海。お祭り。花火。

私にそんな戯言を言っている暇は無い。

来年は受験生だから。今勉強するのが自分の為だから。

そんなエゴを親や先生から押し付けられ、いつしか私は勉強しかできない優等生になっていた。

優等生なんてのも名前だけ。良く言えば先生に信頼され、悪く言えばこき使われていると言っても過言ではない。

私って、何がしたかったんだろう―――。



「渡辺！ちょっといいか？」

「っ？はい？」



ぼーっとしながら廊下を歩いていたせいで、後ろからやってきた担任に気付かなかった。

また資料でも作らされるのかな、と思っていたけれど。



「隣のクラスの日向、渡辺と幼なじみらしいじゃないか！渡辺にしか頼めないんだが、明日から日向の勉強を見て欲しいんだ。」



……ん？？

日向……って、怜央のこと！？その勉強を私が見る？明日から？夏休みなのに！？