「あのヤークを追いかけて。リリアナさんを助けるわ!」
《別にいっけどよぉ…あの高慢女、アリシアがアドバイスしても聞き入れるどころか見下してきたじゃねえか。別に放っておいても…痛い目にあうのは自業自得だろ》

バーミリオンの言葉は…正直な話、ちょっとだけどあたしの心中にも似たような思いはあった。

だけど、ね。

「……ドラゴンを馬鹿にされたくはない。だけど、それ以上に…ドラゴンを嫌ってほしくはないの。それが、どんな人でも」
《け、お人好しが!》

バーミリオンは悪態をつくけれども、わかってる。あたしの言うことを否定はしない、と。

あたしのかけがえのないパートナーだから。

《もうすぐ着くぞ!どうするんだ?》
「ヤークの真横に着けて!リリアナさんを引き離すわ」
《超絶ムズいことをサラッと言うな!まぁ、おれ様ならラクショーだけど、な!》

バサバサッと数度大きく羽ばたいたバーミリオンは、更にスピードを加速する。

(……見えた!)

ヤークに必死にしがみついたリリアナさんだけど、もう片手が外れてる。このままだと地面に激しく叩きつけられてしまう。

「リリアナさん、手を伸ばして!!」
「……!」

あたしを見たリリアナさんは、一瞬伸ばしかけた手を引っ込めた。

「あなたなんかに助けられるくらいなら、このまま落ちた方がマシですわ!!」