「余計なお世話ですわ!」

リリアナさんは意固地になったのか、ますますあたしの言葉に耳を貸さなかった。

「野蛮な野生動物には、やはり痛みで思い知らせる必要がありますわね!」

ヤークの背に乗ったリリアナさんは、そのままムチをしならせヤークのお尻を叩いた。

「ほら、走りなさい!」
「クエエッ!!」

だけど、ヤークはやはり命令に従わない。
すると、彼女は意地になったのか何度も何度もムチを振るう。

「この!たかが野生動物風情が!人間の…しかもわたくしの言うことを聴かないなど、許せませんわ!!」
「ちょっと、リリアナさん!やめなさい!!あっ!?」

さすがに見かねて止めに入ろうとしたら、いつの間にか左右にいたマリナ嬢とカリン嬢に両手を掴まれ止められた。

「あなたなんかに、リリアナ様の邪魔はさせませんわ!」
「そうですわ!リリアナ様はヴァイス殿下の有力な婚約者候補…将来の王弟殿下妃になられる御方。王妃様の次に高貴な女性になる。せいぜい庶民の田舎娘のあなたなんかに止める権利はありませんの」

そう聴いて、なぜだか胸がズキンと痛んだ。

だけど……。

あたしは、キッと2人を睨みつけた。

「そんなの、関係ない!たとえ国王陛下だろうが、王妃様だろうが、あたしは…大切なドラゴン達を傷つけるなら、許さない!」

そう叫んで2人の手を振り払い、ヤークの元へ走った。