今のところ竜騎士候補生は40人ほどいる。
実戦訓練は5人ずつのグループに分かれて行うから、だいたい仲がいい顔ぶれで固定化されている。

で、あたしがザラードとともに合流したのは、数少ない女の子がいるグループ。

プラチナブロンドをゆるく巻き、黄金色の瞳を持つリリアナ・フォン・クロップス侯爵令嬢と、彼女の取り巻きであるマリナ伯爵令嬢とカリン子爵令嬢。

クロップス侯爵は竜騎士団長を務めていて、御子様はリリアナ嬢のみ。彼女は長子として竜騎士を目指しているんだろう。

勝ち気そうな顔つきのとおりに、きつい性格をしていた。

「指導は教官でなくてあなたですの?なら、教えていただかなくとも結構ですわ」

髪の毛をかき上げたリリアナさんは、いかにも貴族令嬢らしく高慢そうにおっしゃいました。

「で、でも!アリシアはすごいんだよ。ちゃんと彼女から習った方がいいよ」

ザラードが一生懸命あたしを押してくれたけど、リリアナさんはふっ!と鼻で笑った。

「庶民から教わる事など、なにもありませんわ。わたくし、3つの頃から乗馬を嗜んでおりますの。たかがドラゴンごとき、すぐに乗りこなして見せますわ」

ヒュン、としなるムチを手にしたリリアナさんだけど…あたしはそれを見てすぐに止めた。

「リリアナさん、ドラゴンは馬と違う。ムチを使ってしまえば、痛みで敵と見做され信頼関係は築けない。ムチを使うのはやめて」