「ヴァイスさん!もう、いいでしょう。ハワードをいじめるより、他の同級生の騎乗を見てあげてください!」

両手で頭を抱えてうずくまったハワードがさすがに気の毒になり、仕方なく助け舟を出した。

「別にいじめていたわけではありませんが……」
「でも、あなたは王族でしかも龍騎士じゃないですか!立場を利用して脅す…ハワードとしたこと一緒でしょう。パワハラですよ、パワハラ!」
「パワハラ…」

心外だと言わんばかりのヴァイスさんに、ビシッと指さしで指摘してあげましたよ。

「ショックを受けてる場合じゃありません!今日は教官がひとり休んでるんです。ちょうどいいですから、あのグループを見てあげてください。あたしもザラードや他のグループを見るんで」
「あ、はい…わかりました」
「では!よろしくお願いしますね」

あたしがテキパキ指示を出すと、誰かが「こええ…ヴァイス殿下を顎で使ってるぞ」と言う声が聴こえたけど、気にしない。立ってる者は親でも使え!おばあさまのモットーだ。

初の騎乗訓練なんだから、ベテランに見てもらった方が断然いいに決まってる。ヴァイスさんは最適かつ理想的な教官だからね。