「すみません……あまりにもあなたが可愛くて…つい…」
「は?」

なんか、信じられない言葉が耳に入ったような。

「かわいい…誰がです?」
「あなたですよ、アリシア」
「……はい?」

ヴァイスさんが意味不明なことをおっしゃってる。かわいい……あたしが?

「ヴァイスさんの目か頭がおかしくなった…」
「視力もクリアですし、思考も正常ですよ」

微苦笑したヴァイスさんは隣の椅子を引いてそこに座る。そして、テーブルの上に肘をついてあたしの顔を覗き込んできた。

「さて、どこから話しましょう?まずは私たちが生まれた状況から話しましょうか」
「はい」

なるべく昔からが知りたかったから、ぶんぶんと大きく頷いて賛同する。ヴァイスさんにクスリと笑われたけど、構うもんか。

「……実は、私と兄上とメローネは、生まれた日と場所が同じなのです」
「え、そうなんですか!?」
「はい。兄上と私は双子として王宮で生まれました…ですが母上である女王陛下の侍女をしていた伯爵夫人も懐妊中で、二月ほど産み月には遠かったのに産気づいてしまったそうです。そこで、母上の機転で王宮で出産を。母上は先輩として励まし、生まれたのがメローネだそうです」