そして、ヴァイスさんがとんでもない情報を話してくれた。

「実は、こんどの竜騎士団の戦力低下を補う方法を、兄上が進言されたのです」
「兄上様……というと、アンテルム王太子殿下ですか?」
「ええ。兄上がおっしゃるには、“これからはドラゴンなどに頼らず、人の手で自分達を護るべきです。よって、海軍の創設を”と」
「海軍の創設……」

王太子殿下のおっしゃることは一理ある。
騎士団は時代遅れという人ももはや珍しくない。
海軍は島国であるこのノプットにはない。今まで空飛ぶ竜騎士がその役割も兼ねてきたからだ。

ただ、近年はバイキングの襲撃や海賊など、海での防衛がより重要になってきているのは確かだ。ことがある度に王都にいる竜騎士団が出撃するのでは、到着までに時間がかかりすぎる。

「……それは確かに、王太子殿下のおっしゃる通りですが……なにか、タイミングがよすぎる気がしませんか?王太子殿下は以前からそうおっしゃってました?」
「いや…兄上はどちらかと言えば軍事には疎い方なのですよ。幼い頃から“私には知しかないから、武はおまえに任せたよ”と常々おっしゃっておられたのです。兄上は昔から病気がちで成人も危ういと言われていたので…私は、兄上を護りたくて竜騎士になったのです」