「そんな謙遜しなくてもいいのに~。あたしはただ、本当の事を言っただけだもん。」

「わ、私だって……本当の事、言ってるだけだよ?」

「あははっ、ありがとう葉月ちゃん。やっぱ優しいね。」

 小さく笑みを浮かべて、私のほうに向き直った知絵ちゃん。

 それにつられて、私もふっと笑みを浮かべた。

 優しい……そう言われるのは、やっぱり照れちゃうなぁ。

 でも嫌な気持ちになるわけなく、これ以上言うのもおかしいと思って素直に受け取った。

「……ね、葉月ちゃん。」

「うん? どうしたの、知絵ちゃん?」

 半分くらいアイスを食べたところで、知絵ちゃんがそう呟いた。

 その声色は真剣で思わずびっくりしてしまったくらい。

 ……どうしたんだろう、知絵ちゃん。

 不思議に思い、首をかしげてみせる。

 それと同時に知絵ちゃんの口が動いた。

「あたし、文化祭のジンクス狙ってるんだ。」

「ジンクス……――えっ、知絵ちゃんまさか……!」

「そう。……好きな人、できたんだ。」

 うちの学校の文化祭には、あるジンクスがある。