「えっ……は、葉月ちゃん。これは……」

 どういう事?という顔をしている知絵ちゃんに、私はにっこり笑う。

「だって知絵ちゃん、今にも倒れちゃいそうだったから……アイスとかで涼めたらいいかなって思って! リンゴジュースもあるよ!」

「わ、悪いって! あたし、今お金持ってなくて……!」

 「ごめん」と言われる前に、私は首を横に何度も振った。

 本当に知絵ちゃんは優しくて、かっこいいなと思いながら。

「いいよお金なんて! 知絵ちゃんはいつも頑張ってるから、ちょっとした差し入れって思ってっ。」

 ね!と念を押すように言うと、申し訳なさそうな表情を浮かべつつも知絵ちゃんは受け取ってくれた。

 ありがとう、と落ち着いた口調で言いながら、アイスの袋を開けて一口含む。

 その様子を見てから、私も自分の分のアイスを開けた。

 流石に私も、涼まなきゃやってられないと思ったからね。

「……葉月ちゃんて、優しいから片桐先輩の彼女になれたんだなぁって改めて思ったよ。」

「や、優しいなんてっ……優しいのは知絵ちゃんのほうだよ。」