2日目は恋愛漫画を、3日目以降は恋愛映画のDVDを持ち込んだ。


部室が視聴覚室というのは、最適な環境だった。


プロジェクターを使って、キスシーンを大きく映せた。


それと夏休みには誰も通り掛からないような校舎内の僻地に位置しているのもよかった。


私たちは思う存分、大声を出せた。


「あの、ここ見切れてますけど、ヒロインの腕はどうなってるんでしょう? 私はどうしたら……」

「よし、再現してみよう。私と陽帆でやってみるから、彩葉は見てて」


私は問題のシーンを戻してスロー再生にした。


友歌先輩と陽帆は向き合って立ち、スクリーンを見ながらキス直前のカップルの距離を測った。


「こうかな?」


陽帆が友歌先輩の体に手を添えた。