狙うまでもなく、とうに約束済みだ。話が都合のいい方向に進んでくれて有難い。


陽帆はスマホを取り出し、カレンダーを確認した。


「今週末から夏休みに入りますが、そこから2週間あります」

「夏休み…… ちょうどいいじゃない」


友歌先輩はニンマリした。


「だって、軽音部と時間を調整すれば、平日は毎日サークル活動ができるから。昨年は涼しい視聴覚室で夏休みの課題を片付けたんだけど、今年はキスの勉強会をおこなうことにしまーす!」

「ええっ、いいんですか?」


自分から持ちかけた相談とはいえ、貴重な夏休みの2週間を私のために使うなんて……


「私と陽帆にも勉強会の成果が役に立つ日がいずれは来るはずだから!」

「そうだよ。面白そうだしやってみよう!」


ふたりのやる気が私にも伝播した。


「そうですね、よろしくお願いします!」